朝鮮総連 朴斗鎮

朝鮮総連―その虚像と実像 (中公新書ラクレ)

朝鮮総連―その虚像と実像 (中公新書ラクレ)

朝鮮学校は、在日朝鮮人のための民族学校ではなく、北朝鮮の学校。朝鮮総連は、日本共産党の指導下にあった「朝連」をそのまま引き継いだのではなく、朝鮮労働党に「オーナーチェンジ」したもので、在日朝鮮人のための組織ではなく、金日成金正日のための組織であった。そのため、民族派の韓徳銖(ハンドクス)は日本共産党民族対策部=民対派との激しい闘争(宗派狩り)が繰り広げ、さらに民族派内で抗争が繰り広げられる。まだ拉致が大問題となる前、高校の政治経済か日本史の副読本で紹介されていた金達寿の『朝鮮』を読んでそのあまりの北朝鮮よりに辟易した記憶があったが、彼ですら金炳植(キムビョンシク)からは「主体性の欠如」を攻撃されていたと。北朝鮮にとり、朝鮮総連とはどこまでも、経済的に発展した日本から資金を得、韓国への工作を行う組織として位置付けられたものだったのだ。そして『朝鮮』の一節が副読本で紹介されるくらい、日本の知識層は北朝鮮に好意的で、それが主体思想研究会を通じ「八尾恵」のような日本人工作員づくりにまでつながってしまったのだろう。