たまたま レナード・ムロディナウ

たまたま―日常に潜む「偶然」を科学する

たまたま―日常に潜む「偶然」を科学する

 
「『フロリダ』という名の女の子」の節は秀逸だ。子供が二人いる家族で、子供の一人がフロリダという名の女児である場合、子供が二人とも女児である確率はどれほどか?ただ一人が女児であった場合は、「モンティ・ホール問題」である。もう一人は男か女かどちらかなのだから2分の1?ではない(3分の1!)ことは踏まえたうえで、今度は名前がわかっただけで2分の1になってしまうのだ。「条件付き確率」という考え方だ。なんとも奥が深く、目からウロコで興味が尽きない。モンティ・ホール問題など確率に関する一般的な思い込みの誤りをただしつつ、複雑な状況のもとにある現実では、起きた結果は予測することはほぼ困難で、ということはつまり「たまたま」である。たくさんのホームランが出るのも、チームが勝つのも、市場を予測するのも。だから成功するには「歩き続ける」しかないのだ。