OUT上・下 桐野夏生

OUT 上 (講談社文庫 き 32-3)

OUT 上 (講談社文庫 き 32-3)

OUT 下 (講談社文庫 き 32-4)

OUT 下 (講談社文庫 き 32-4)

初めて読んだ。仕事仲間の殺人の後始末を引き受けるという最初の設定への疑問さえクリアされれば、それぞれの犯罪に荷担していった事情やその破綻への道筋は十分に説得力をもって読み応え十分。邦子のキャラクターがとてもよくできている。ヒロインのプロフィールが当初謎っぽかったのも、突拍子もない行為を主導することを読者に納得させる効果を考えてのことだろう。終盤、追い詰められたヒロインが十文字と組んでの逆転技が小気味いい。傑作。ラスト近く、二人がわかりあうのは、どうなのかな。