皇族誕生 浅見雅男

皇族誕生

皇族誕生

明治維新で一気に増えた皇族。そのほとんどが縁遠い伏見宮系であり、しかしその臣籍降下については、既得権にしがみつく醜い姿を見せる。軍勤務は、ほかに行くところがないから昇進の優遇はやむを得ないにしても、安全な場所に置かれ(海軍は多少違うが)、武勲もなにやら怪しい。悲劇の親王である北白川宮能久親王であるが、ドイツ留学中にドイツ女性と「婚約」したり、死後に隠し子が登場したり(二人とも華族となった)とお騒がせであった。東久邇宮稔彦王に至っては、フランスからの帰国を拒んだり、神兵隊事件ではかつての御付武官にすべての責めを負わせたりと、人間的にもどうか、という言動だ。天皇に近い直宮は自覚が違うのか別として、『闘う皇族』でも描かれた身勝手でわがままな醜い皇族の姿が全体としてよくわかる。