隠し剣秋風抄 藤沢周平

新装版 隠し剣秋風抄 (文春文庫)

新装版 隠し剣秋風抄 (文春文庫)

人を切ること、面目を保つこと、主命に従うことを義務付けられている下級武士の剣。剣技がなければ彼らはまったく埋没してしまうのだが、卓越した技がかえって不幸を招いてもいる。窮地に立たされ友人も上司もあてにできぬなか、冷たい妻の真情が最後にわかる「孤立剣残月」、盲目の夫とそれを支える妻のこまやかな愛情の「盲目剣谺返し」が特によかった。