残酷物語 南條範夫

残酷物語 (中公文庫 A 51)

残酷物語 (中公文庫 A 51)

かつて角川文庫『戦国残酷物語』で「囚人の石垣」の、精神的な刑罰のエピソードが印象的だった。その「復讐記」。「殿は左目を潰された。従って…」の「第三の陰武者」。初めて読んだものでは、「名君無用」か。迅速な判断が求められず他国に占領されるおそれのない平和な世の中になると、家臣と協調してそのうえにのっかり、大過なくやっていくことこそが主君に求められるのか。「義親見参」は期待したが、さらされた首が本物か、現れた者が本物か、妙に謎めかして腑に落ちない。