戦場にかける橋

ニコルソン大佐のようなタイプは、確かにいるかもしれない。プライドというか、納得できなければとことん抵抗するが、納得できれば全力を尽くすわけだ。斎藤大佐の対応は、日本軍一般的なものだったかもしれないが、やはり下手としかいいようがない。不屈の精神で誇りを守り切った男が、自発的に協力するとなると、敵のためになる工事に積極的になる。早々に脱走したシアーズが理解できないのも無理はない。ただ、せっかく造った橋を守ってやりたい気分にもなる。仕事にはやりがいがないと。ふと昔読んだ南條範夫の『戦国残酷物語』を思い出した。罪人に石垣を造らせる話があるのだ。楽な仕事なのだが手抜きは許されず、立派に完成すると、今度は徹底的に破壊させる。そして跡地にまた手抜きなしに堅固な石垣を造らせる。そして完全に破却させる。この繰り返しに囚人たちは心を冒されるのだ。まあ、映画のテーマとは違うけれど。