殺人者はいかに誕生したか 長谷川博一

殺人者はいかに誕生したか―「十大凶悪事件」を獄中対話で読み解く

殺人者はいかに誕生したか―「十大凶悪事件」を獄中対話で読み解く

世間を震撼させた殺人者が、幼児期の虐待の被害者で、適切なケアを受けていれば、ということか。もちろん、児童虐待の被害者がみな殺人者になるわけではないし、ケアを受けても事件は起こすかもしれないし。「いい子」だけだと無意識下に追い込まれた「影」が爆発する。息抜きの場をつくっておかなければいけないわけで、「きれいな虐待」ということになる。実に難しい。著者は、刑事裁判の迅速化を前提とする裁判員裁判で、真実を明らかにすることがいっそう困難になると懸念している。もともと刑事裁判は量刑を決めるための駆け引きの場であり、真実を明らかにする場ではないことに加えてさらに。