日本の国会 大山礼子

日本の国会――審議する立法府へ (岩波新書)

日本の国会――審議する立法府へ (岩波新書)

日本の国会は、議院内閣制であるにもかかわらず憲法上、アメリカの影響が強く、内閣は提案した法案の審議を促進させる手段を持たない。すなわち、提案以前に与党の合意を得ることが必要であり、事前審査制が実務上の必要から定着した。小泉首相の郵政改革は首相の勝利として記憶されているが、実ははじめは衆議院ではやっとの可決・参議院では否決されたのであり、与党の意向と異なる法案を提出すると、議事促進手段を持たない内閣にとってその後の修正・成立は困難なのだ。それがさらに解散の怖れがなく閣僚のポストも少ない参議院となると。結局、強大な権限を持っているからこそ事前の協議でことをすませ、国会での議論が形式的になる、というわけなのだ。憲法改正も視野に、目に見える国会審議、それも本会議の充実という形での改革が求められるのだろう。