戦前昭和の社会 井上寿一

戦前昭和の社会 1926-1945 (講談社現代新書)

戦前昭和の社会 1926-1945 (講談社現代新書)

昭和初期は、反米感情どころかアメリカへのあこがれが強まり、デパート・映画・文化とアメリカ化が進んだ時代だった。一方で格差は広がり、戦争のもたらす平準化が歓迎され日中戦争が支持された。それにしても砂浜で水着のハリウッド女優が花火をかついでいる写真に肉弾三勇士をもじったキャプションをつけるあたりなど、とても数年後にアメリカと戦争するとは思えない状況だ。ころころ変わる内閣といい、現代と異なっているのは、弾圧がないにもかかわらず共産主義への深い幻滅だろうか。