天魔ゆく空 真保裕一

天魔ゆく空

天魔ゆく空

孤高の天才が理解ある家臣を失って漂流し、かつての腹心からも疑念を抱かれ叛かれ命を落とすに至る。日野富子との将軍後継をめぐる駆け引きには観るところがあるが、周囲の視点から政元を見るという手法からか、政元に感情移入できず、悪く言えばひたすら筋と登場人物を処理するのに忙しい、という感想。政元が勝元の実子ではなく、いったんは家臣から見捨てられかけ、そのことが子をなさなかった背景にあるという着想はおもしろかったが。