ラーメンは、ファミレス(「ガスト」)や
ハンバーガー(「
マクドナルド」)、牛丼(「
吉野家」など)といった食のデフレから脱却し、値上げにも成功した食だと。なぜか。
安藤百福の「工業製品としてのラーメン」という発想が大ヒットにつながったこと、受験勉強の深夜食として
団塊の世代の共通体験の食べ物となったこと。ここまでは、ほかの料理のたどったデフレへの道は免れまいと思ったら。札幌ラーメンは、もともとは味噌でなかったのが、一斉に変わったこと、すなわちご当地ラーメンは、郷土料理ではなく、かえって食の均一化の結果であったこと、また
喜多方ラーメンのように観光を目的に作りだされたものであること。
スローフードの流れと作務衣姿の「ご当人ラーメン」が増えてきたこととの関係。「麺屋」などラーメンを「隠す」店名と、白と赤という伝統的な中華のイメージと異なる黒や青、紺といった色使い。反中国的な首長の政治目的に利用される(批判しているわけではなさそうだ)ラーメン。各方面から戦後と現在の日本人の文化や思考、経済まで多方面から観察している。