日教組 森口朗

日教組 (新潮新書)

日教組 (新潮新書)

戦後教育の悪化や学力低下の責任をすべて日教組に押しつける見方を否定しつつ(組織率が高くてもほとんど国旗国歌掲揚していたり、組織率が低くても学力は高くなかったり、組合員でいじめ対策に熱心だったり。「責任」は、当然、権力を握っている自民党や実務を担っていた文部科学省教育委員会にあるのだ)、戦争で教え子を戦場や開拓団に送ったことに対する精神的な「癒し」として、急速に共産化したこと、教員の「ムラ」社会の体質に組合が食い込んだことを挙げている。勤評と校長の管理職化が組合を弱体化させたこと、その一方、校長はボスではなくなり(「我ら」ではなく「奴ら」になった)、「駐在型」(さらに「下級官吏型」と「日和見型」に)「傀儡君主型」「名望家型」に分類しているのは、興味深かった。学校ではこんな世界が、子どもたちの背後で広がっていたのか、という思いだ。