大相撲の経済学 中島隆信

大相撲の経済学 (ちくま文庫)

大相撲の経済学 (ちくま文庫)

合理的な人間が合理的に行動するとどうなるか、という経済学の視点から、大相撲の世界を分析、部屋別総当たり制や褒賞金制度、年寄制度、十両と幕下の決定的な格差と翻って十両や幕内内部での給金があまり開いていないことなど、親方が強い力士を育て力士が長い期間土俵を務められるように「合理的」につくられていることを説明している。大相撲の力士たちを「会社人間」と位置付け、八百長については、起きやすい背景は常にあるとして、起こしにくいように努めるとともに外部から厳しく目くじらを立てることに疑問を呈している。年寄として残ることを想定していなかった朝青龍のやんちゃな振る舞いは、横綱に求められている「品格」が、給料の後払いである年寄としての協会内での出世のためだとすれば、これまた「合理的」なのだ。