心臓を貫かれて上・下 マイケル・ギルモア

心臓を貫かれて〈上〉 (文春文庫)

心臓を貫かれて〈上〉 (文春文庫)

心臓を貫かれて〈下〉 (文春文庫)

心臓を貫かれて〈下〉 (文春文庫)

 
父親からのすさまじい体罰が4人の兄弟の心を蝕む。そして母親の、これは夫へのある意味、復讐なのだろうか、暴力にさらされても出て行かず、大喧嘩を繰り広げる。最期を迎える時にはわかりあえているようにも描かれ、それは救いでないこともないがでも子どもたちは救われない。そして、長男の出生にまつわる秘密。「ある種の精神の傷は、一定のポイントを越えてしまえば、人間にとって治癒不能なものになる」。では刑務所に入れなければいいのか、死刑を廃止すればいいのか、浮かぶ感想は互いに矛盾し、まとまらない。