仁義なき日本沈没 春日太一

仁義なき日本沈没―東宝VS.東映の戦後サバイバル (新潮新書)

仁義なき日本沈没―東宝VS.東映の戦後サバイバル (新潮新書)

東映東宝の盛衰を語る。後発の東映は、占領終了後の時代劇ブームと地方上映館対策が功を奏して好調になるも、マンネリ化とテレビに押されて衰え、今度は任侠もので盛り返す。しかしこれもマンネリ化。「仁義なき戦い」は実録もので、広がりと継続性は難しかった。一方の東宝は、争議の影響から「七人の侍」に代表される大作主義で盛り返すが、スター主義の終焉、家族全員が足を運ぶのでなくなったことを背景とした善良主義への飽きにより、東宝も衰える。現在の日本映画の復活は、かつての隆盛とは、また違うものであることを感じさせる。