二・二六事件と青年将校 筒井清忠

決起した青年将校の間では、北一輝の「日本改造法案大綱」の実現を目指す「改造主義」と「天皇主義」との流れがあり、「天皇主義」に立てば決起後の政権を云々することは「大権を私議」することとなる。十月事件への嫌悪がエネルギーなのだ。改造主義派は天皇主義派に配慮しつつ、政権奪取クーデターを考えなければならなかった。とはいえ、改造主義者の心中にも天皇主義のメンタリティーがあった。この二つの流れは、実に正鵠を得ていると思う。