奈良朝の政変と道鏡 瀧浪貞子

奈良朝の政変と道鏡 (敗者の日本史)

奈良朝の政変と道鏡 (敗者の日本史)

道鏡は大臣禅師や太政大臣禅師・法王となっていったが、官ではなく位であるとされたうえに藤原永手吉備真備も出世しており、道鏡政権というものはなかったと。施策は大嘗祭に僧が参加するなど仏を神が守護するという混淆、法王宮職紫微中台との相似など、仲麻呂政権を意識したものだが、任じられたのが渡来人系で貴族層の反発が窺える。宇佐の神託は、八幡神比売神との対抗・不祥事で離れていた八幡神の帰座に伴う比売神側の焦りなどが背景にありそうだ。