死の島 上・下 福永武彦

死の島 上 (講談社文芸文庫)

死の島 上 (講談社文芸文庫)

死の島 下 (講談社文芸文庫)

死の島 下 (講談社文芸文庫)

夢が重要なのだが、実は、この本を読んでいる間である昨夜に見た夢は、イメージとしては保坂和志の『プレーンソング』のような情景だった。年齢の近い男女、という以外にはあまり共通点のない、随分テイストの違う世界なのに。一日のなかに一年を、相馬と相馬の小説、素子(多重人格?)の視点と記憶などで多重の時間の行き来する世界を構成している。心中の結末も3通り。複雑な小説だ。そのなかで「或る男」の視点が愉しく、いい意味で息抜きになる。