反グローバリズムの克服 八代尚宏

反グローバリズムの克服: 世界の経済政策に学ぶ (新潮選書)

反グローバリズムの克服: 世界の経済政策に学ぶ (新潮選書)

自由化によって国内産業が衰退するという生産者の不利益があっても消費者の利益から所得補償をする方が、経済全体から効率的であり、高い関税や生産調整をする方が正義に反する、という主張。コメは4割もの減反と年金などが主な収入の零細農家を維持することが、手数料収入で儲ける農協の利益になっていると。中南米は経済が発展していない段階でアメリカの存在が圧倒的で、成熟した日本がアメリカの脅威をことさらに言い立てるのはおかしいと。アメリカが時刻の制度・やり方を「グローバル・スタンダード」として押し付けてくるのは、州ごとの国内競争を勝ち抜いてきた制度という自負があるとか、カナダは武器の民間所持の禁止や公的医療保険など「まっとうな」自由主義国であること、北欧は、企業は救わず個人を救うという制度であること、など。