夜空はなぜ暗い? エドワード・ハリソン

当然ではないか、という疑問から始まって宇宙の成り立ちについての説の発展について論じている。その説の背景には、光には速度があるということ(まだ届いていない、という考え方の前提)、エネルギー不滅の法則(従って、ちりなどで光が吸収されて届かない、という説は成り立たなくなる)、宇宙の膨張など。理解に難しいところもあるが、結論としては、宇宙は広く、光で満たすためにはエネルギーが十分でない、ということになるようだ。これと、遠い星からの光がまだ届いていない、ということか。前提の発見がない時代の説が珍奇なのはある種しかたないことで、当時なりの「科学的」態度なのだろう。監訳者が、小学生の4割が天動説、という記事について、日常生活からは当然だし学校でも教えていないのだから問題視にあたらない、かえって実感できないものを常識だからとおしつけるのは「オレオレ詐欺」ではないが、好ましくない、という趣旨のことを書いているが、「宇宙はなぜ暗い?」という疑問からスタートするのは、まさに科学的である。地人書館では、中学から高校の頃、『おはなし天文学』というシリーズが好きで何度も読んだものだった。

夜空はなぜ暗い?―オルバースのパラドックスと宇宙論の変遷

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