破滅 毎日新聞社会部編

破滅―梅川昭美の三十年 (幻冬舎アウトロー文庫)

破滅―梅川昭美の三十年 (幻冬舎アウトロー文庫)

昭和54年の三菱銀行北畠支店の梅川昭美の30年(!)の半生を追った本。自己中心的で自分の構想が破れると他人に責任を転嫁する。逃げもせずひたすら自分のこしらえた独裁空間に君臨する。そして猟銃による強制が生んだ犯人と被害者との奇妙な連帯感(これは本当に猟銃だけなのか。いわゆるストックホルム症候群とか、本書で「A子」として登場する、梅川にさんざん暴力を受けながらも、なかなか離れられなかった女性の心理とか、人というのは奥深いものだ)。15歳の時の新妻殺人事件と、その際の鑑定書が予見?した残忍性。当時の人質の方々のほとんどが今なお健在であろう。最近はやりの言葉「心の傷」はいかばかりであろうか。