原勝郎『東山時代に於ける一縉紳の生活』を読んでいる。三条西実隆その人というよりも、足利時代論(室町時代という言葉は使っていない)が興味深い。藤原時代(平安時代という言葉は使っていない)に対するルネッサンスと位置付け、違いは、実力がより下方に移り広がったことで(平氏政権は藤原氏庶流がときめいたようなもので、その意味で鎌倉時代は権力層の変化といえる)文化がより広がり、その広がりも垂直だけでなく、水平(地域的)に広がっている点を強調されている。もっとも、戦前の著作だけに、読むのに漢和辞典と古語辞典が欠かせない。当然のように記される用語(「京極中納言」など。「人麻呂影供」について触れている文脈から、定家のことか、とは思っても、京極家の成立はさらに後だから別人か、それともやはり定家か、と『国史大辞典』を引っ張り出したり。