花まんま 朱川湊人

花まんま

花まんま

表題作が、やはり最高である。初めのうちは少しわけがわからない感じでホラーっぽくなっているが、それまでの3作の影響で、さほど違和感無く読み進むことができる。そして、ガイコツである「父」に捧げられた弁当箱=「花まんま」である。繁田家の人たちに深く同情しながらも亡き父、そして母のためにもフミ子に触れさせまいとする俊樹。ラストもありきたりと言えばありきたりだが、巧みである。「摩訶不思議」は罪なく読め、「送りん婆」も軽い方だ。その他の作品は、やはり「差別」がテーマのひとつになっていて、差別される者と妖しの融合が、一つの世界を作っていることを感じさせる。差別が人の作り出す苦しみとすれば、差別される者ほど、不思議な世界に感応する、ということなのかもしれない、などとも感じた。