2005-06-19 花まんま 朱川湊人 読んだ本 花まんま作者: 朱川湊人出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2005/04/23メディア: 単行本 クリック: 28回この商品を含むブログ (140件) を見る表題作が、やはり最高である。初めのうちは少しわけがわからない感じでホラーっぽくなっているが、それまでの3作の影響で、さほど違和感無く読み進むことができる。そして、ガイコツである「父」に捧げられた弁当箱=「花まんま」である。繁田家の人たちに深く同情しながらも亡き父、そして母のためにもフミ子に触れさせまいとする俊樹。ラストもありきたりと言えばありきたりだが、巧みである。「摩訶不思議」は罪なく読め、「送りん婆」も軽い方だ。その他の作品は、やはり「差別」がテーマのひとつになっていて、差別される者と妖しの融合が、一つの世界を作っていることを感じさせる。差別が人の作り出す苦しみとすれば、差別される者ほど、不思議な世界に感応する、ということなのかもしれない、などとも感じた。