ベルカ、吠えないのか? 古川日出男

ベルカ、吠えないのか?

ベルカ、吠えないのか?

太平洋戦争から、ベトナム・アフガン・チェチェンと続く戦争やを背景に、犬の系統とそれを翻弄する人間の都合から、人間の身勝手さ理不尽さを犬の視点から描いている、と言えようか。以前、漫画青年誌(『ビッグコミック』だったか)にも旧ソ連の軍用犬開発の話があったが、実際、本格的に行われていたのだろう。構想は広大だし、創造性も豊かだが、ちょっと観念が先走っているような。古川日出男の作品は初めて読んだが、やや読みづらい。メキシコの「ルチャ・リブレ」のエピソードは、個人的には、経験者と自称する人を知っているので、興味深かったが。