戦国時代の終焉 齋藤慎一

戦国時代の終焉 - 「北条の夢」と秀吉の天下統一 (中公新書(1809))

戦国時代の終焉 - 「北条の夢」と秀吉の天下統一 (中公新書(1809))

かつて織田信長と結ぶことで関東の王たらんとした「北条の夢」追求の過程で、天正12年、小牧・長久手とほぼ同じ時期に行われた沼尻の合戦において、北条家が反豊臣と位置付けられ、18年の小田原征伐へとつながっていく、というくだりだ。その間、佐竹・宇都宮・太田など反北条の諸将と羽柴方との連携、勢力圏境目の由良・長尾兄弟の動きなども興味深いし、いったん氏規の上洛によりかえって反北条方のほうが豊臣から見て疎遠となったことや、ぎりぎりでの情勢判断の誤り(氏政の上洛の遅れと名胡桃奪取)が滅亡を招いたところなども、なるほどと思わせる。ところで、秀吉は最後は北条を残すつもりはなかったのではないか。家康を最も警戒している秀吉にとって、家康領の東にかつての家康の同盟者を残しておくのは得策ではないし。それとは別に、太田道誉という人物に関心を持った。おもしろそうだ。