安徳天皇漂海記 宇月原春明

安徳天皇漂海記

安徳天皇漂海記

人間の着想というのはなんと似ているのか。『小説平家』を読んだのは今年になってからなのだが、それでも。やはり早く着手すべきか。もちろん、『小説平家』の部分は重要な登場人物誕生には関わるが、基本的には陰陽道的な神話解釈(中世神話だろうか)など、伝奇的な要素たっぷり。安徳天皇と、同じく海に沈んだ南宋の少年皇帝(正式には数えられていないが)とを結びつける着想は見事。小林の大臣だの太宰の禅師だの花田博士などというのは、オマージュのつもりだろうが、余計。