翼はいつまでも 川上健一

翼はいつまでも

翼はいつまでも

感動作だ。簡単に感動してしまって恥ずかしいけども。ひとりひとりのキャラが立っている。野球とビートルズの第一章「お願い・お願い・わたし」で、おとなのずるさとの対立でかなり盛り上げてくれるが、斉藤多恵が一気にヒロインとなる第二章「十和田湖」の輝きは、第一章を完璧にただの前座に過ぎないことがわかるほどかすませてしまう美しさと迫力だ。ラストの設定は、ちょっとお決まりだったし、彼女のその後もちょっと出来過ぎだけど。終章ちょっと前でいったん読むのが途切れたのがそういう感想を持たせるのかもしれない。