初恋温泉 吉田修一

初恋温泉

初恋温泉

▽表題作。いい感じなのだが、どこですれ違ったのか、今一つ釈然としない。いい面だけを見せようとがんばったからか。▽「白雪温泉」。いいカップルが、さらに一段、深いところに進む、そんなところが、おしゃべりと沈黙という小道具で巧みに演出している。▽「ためらいの湯」。今一つ。▽「風来温泉」。いちばん切ない。「今さら」。そのとおりだ。どうすればいいのか。▽「純情温泉」。前4作のカップルも最初はこうだったのだ。このままいくかどうかはもちろん、定かではない。このテーマは、誰をも惹きつけて、得ではある。