呪いの都 平安京 繁田信一

呪いの都 平安京―呪詛・呪術・陰陽師

呪いの都 平安京―呪詛・呪術・陰陽師

▽法師陰陽師が呪詛をかけ、官人陰陽師はそれを防ぐ。官人が呪詛を欠けるのは国家の敵に対して。▽「見えない暴力」呪詛は平安貴族の日記には出てくるが、王朝物語にはほとんど出てこない。男は記録しても女は書きたがらない。特に『源氏物語』については、当初の読者である道長や彰子が呪詛の対象であることから紫式部が配慮したのでは、と推測されている。▽『二中歴』で紹介されている呪術は和歌が呪文のものも多く、素人が行うもの。呪術は庶民も多く行っていたのではないか。▽法師陰陽師が呪詛の犯人になることがわかっていて取り締まらないのは、祓えなどで官人陰陽師の数は25人程度と数百人いる貴族社会に対して絶対的に足りず、中・下級貴族層の需要がある存在だったから。