白の民俗学へ 前田速夫

白の民俗学へ 白山信仰の謎を追って

白の民俗学へ 白山信仰の謎を追って

シラヤマと読まれる白山神社は、被差別部落民の信仰の対象、という事実から、加賀の白山の祭神・菊理媛のククリ、イザナギの禊ぎとの関係、白が清浄な色であると同時に不浄を表していたこと、そしてsirという語幹を持つ言葉の持つ意味。神は、ヒトガタの例を挙げて説明されているように、人の汚れを引き受けて「祀り棄てられ、さすらいの身とな」るものであった。こうなると、神聖と穢れとはあと一歩である。人の穴から出る糞尿・汗・唾・乳・血が穢れであれば産も月経も穢れとなるが、一方で生産と豊穣も意味する。もう少し民俗学の素養を積んでから再び、この本に挑戦してみたい。