ミステリアスセッティング 阿部和重

ミステリアスセッティング

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ノゾミの存在感が圧倒的なだけにスーツケース爆弾の後半にあらわれてくるかと期待していたのについに出てこなかった。残念。ところでマヌエルからのメールや電話のシーンでなぜか村上龍の『コインロッカー・ベイビーズ』を思い出した。「ダチュラダチュラ」だ。荒唐無稽と言い切ってはいけないのかもしれないが、音痴の夢見ちゃんが核爆弾を預かり、携帯サイトの知り合いが語り部になるという物語の構造に、なんともうさんくさいというか、いい加減というか、脱力というか。