赤朽葉家の伝説 桜庭一樹

赤朽葉家の伝説

赤朽葉家の伝説

山陰地方の旧家を舞台に、サンカ伝説と千里眼という「非近代」をベースに戦後日本の高度経済成長とオイルショックバブル崩壊を描く。万葉と瞳子の第一部「最後の神話の時代」と第三部「殺人者」が骨格だが、もちろん物語が描く対象としているのは「あいあん天使!」の第二部「巨と虚の時代」で、とても魅力的だ。ただ、壮大なヨタ噺を利かされているような気にもなるのはなぜだろう。平成版『楡家の人びと』、という気にもならないわけではないのだが、褒め過ぎか、褒め過ぎだろう。