灰色のピーターパン 石田衣良

表題作は、大物になったがゆえに鎧袖一触。そんなマコトだが、まだ手に余る分野がある。「野獣とリユニオン」。イタリアンの味わいが魅力的だ。最後は素直に泣けるほど感動的で、まだまだ甘いか。「駅前無認可ガーデン」。しかし究極的には解決せず救いもないが、トラブルシューターとしてはここまでだろう。「池袋フェニックス計画」は、広域暴力団とつるんでいた副知事をどんなに個人的に同情すべき事情があるとしても(さほど同情すべきとも思えない)、この見逃し方はない。というより、ビジュアルはともかく経歴は露骨に竹鼻前副知事を連想させるのだが、その方が気になってしまう。