サラ金崩壊 井手壮平

サラ金崩壊―グレーゾーン金利撤廃をめぐる300日戦争

サラ金崩壊―グレーゾーン金利撤廃をめぐる300日戦争

06年1月13日の最高裁判決をきっかけに始まったグレーゾーン金利撤廃に向けた、金融庁貸金業界、自民党とのやりとりを迫力を持って描く。法案を成立させるために設けた「特例」が突き上げられ、あたかも業界寄りかのように叩かれる担当者の立場など。「命が担保」と呼ばれた「団信」(消費者信用団体生命保険)が、資金供給元の生保とのつきあいの面が大きく、真に問われるべきは生保ともいうべきことなどは、目からウロコである。「長距離砲」(長期的な結論を先取りしすぎた記事)「美しい法律」(内閣法制局や各省庁の事務次官による各省協議を経て出来上がる閣法のほうが、議員立法より、という意味で)といった隠語、業界用語が効果的に使われて、読んでいて現場にいるような臨場感もある。ただ、共同のスクープとしている特例の撤回については、確かに与党案はスクープだったかもしれないが、特例撤回そのものは、はたして共同がいちばんだっただろうか?ちょっと記憶と違っているが、まあ、けちを付けるつもりはない。