聖灰の暗号 上・下 箒木蓬生

聖灰の暗号〈上〉

聖灰の暗号〈上〉

聖灰の暗号〈下〉

聖灰の暗号〈下〉

自分たちを尊重しないという理由で異端と決め付けられ火あぶりにされたカタリ派。その弾圧の模様を両親がカタリ派だった修道士が記録し、密かに隠した手稿を探す日本の研究者とその周りで次々に起きる殺人事件。舞台装置は十分で、アリエージュ地方の郷土料理の記述がとても楽しい。ただ、『国銅』を読んだときも感じたのだが、登場人物がどうも存在感というか人間像というか、迫ってこない。箒木蓬生でも『逃亡』はすごくよくて、そんな感じはなかったのだが。