大本襲撃 早瀬圭一

大本襲撃―出口すみとその時代

大本襲撃―出口すみとその時代

苛酷な宗教弾圧で知られる大本だが、その2代教主すみの存在は、これまで意識したことはなかった。たいへんに穏やかで芯のしっかりした、という通りいっぺんの評価ではおさまらない、単に「烈女」「女傑」という言葉で表現しきれない人物だったようだ。高橋和巳の『邪宗門』だと、小児麻痺をわずらった後継者に相当する位置(ただし、小説ではすみと王仁三郎の娘だが)だろうか。著者は杭迫京都府特高課長に思い入れが相当あるようで、大本を訪問してほしかったようだが、やや贔屓しすぎという感じがした。