南北朝の動乱 森茂暁

南北朝の動乱 (戦争の日本史8)

南北朝の動乱 (戦争の日本史8)

南北朝動乱の特徴として、二つの王権の存在と、対立する一方が片方を担ぎあげる、ということがある。太平記細川頼之の登場をもって筆を擱くのは、南朝の力が問題にならなくなるほど弱まり、有力守護同士の勢力争いの様相が強まったから。それでも足利義教が明との通行を再開したのはなぜか。宗主国からの救援を期待していたからだ、と本書では読める。大内氏鎌倉公方後南朝という勢力によって軍事的な危機に追いつめられることを怖れていたということか。▽半済は、在地の支配をめぐって争う領主の、北朝側についた一方からの守護への積極的な対応の反映という見方もできることも示されている。