民主党の研究 塩田潮

民主党の研究 (平凡社新書)

民主党の研究 (平凡社新書)

▽小沢の国連指揮下での自衛隊派遣(そのための法改正は必要だが憲法には適合する)という主張は、佐藤功の『日本国憲法概説』からのネタだったか。もちろん本書でも指摘しているように、佐藤はまっとうな憲法学者らしく、そもそも自衛隊憲法違反なのだから、つまみ食いもいいところだ。そして、湾岸戦争以来のこだわりを、大連立協議の場で自民党に衝かれた、という筆者の分析は、その通りだろう。▽菅の野心家ぶりと人間的な小ささ、鳩山の宇宙人ぶりが、論功行賞人事(中野寛成の幹事長)という俗ぶりで一気に失墜と、民主党ドタバタの歴史も要領よくまとめている。▽結論として、自民党との対立軸としては、分権、ということになるのか。「政権交代は究極の情報公開システム」。その通りで、民主党にそれを期待したいのではあるが。