償い 矢口敦子

償い

償い

一人の命を助けてしまったことが、多くの命を失う原因になってしまったのではないか、という苦悩はもっともだが、どうもつくりもの(当然だが)ストーリーという印象が強い。まだ日高がホームレスとなった原因である苦悩の方がずっとリアリティーがある。まあまあというところで、絶賛されるほどでもない。なお、署長のことを「警察大学を出て間もないキャリア組」という表現は、いくら警察外部の元医師の発言とはいえ、著者の不勉強ぶりを露にしている。