高宗・閔妃 木村幹

高宗・閔妃―然らば致し方なし (ミネルヴァ日本評伝選)

高宗・閔妃―然らば致し方なし (ミネルヴァ日本評伝選)

結局、高宗の中では、自分と家族の安全が第一で、そのために「無限の君権」を望み、維持のためには、清国でもロシアでも日本でも、何でも頼ったうえ、都合が悪くなると臣下のせいにして切り捨てた。ロシア公使館に遷ってからかえって、独裁権力が強化されるという皮肉も、内宮・外宮、国内・国外の区別なく、頼れるものは頼ろうとする高宗の性格によるものだろう。国王専制の体制にあるとき、トップに節操がないと亡国となる。著者は「あとがき」で同情的な口吻を洩らしているが、どうだろう。