戦後日本経済史 野口悠紀雄

戦後日本経済史 (新潮選書)

戦後日本経済史 (新潮選書)

雑誌連載記事をまとめたということで読みやすい。『1940年体制』が出た直後(平成7年)に読んだが、その論旨に山一や長銀の破たんが加わっている、という感じでぶれはない。バブルに関する分析は一層明確になっている。オイルショックを乗り越えた成功体験が戦時体制を延命させ、銀行が生き残りのために融資に狂奔し、大衆土地保有の戦時体制が土地バブルにつながった。金融安定のために払ったコストは膨大で(払わなければもっと広がったおそれはあるが)、そのことを教訓としなければならないと。