「審理」「評議」「自白」のタイトルで、
裁判員制度下の3つの刑事裁判を描いた連作集。裁判官・検察官・弁護士はみな同じ。1本目は弁護士の活躍で評議に入る前にえん罪が明らかになり、2本目は弁護士の期待した証人は現れなかったものの、
裁判員たちはその不在に焦点をあてて真実を明らかにしていく。「ミオ」をめぐる、裁判長の訴訟指揮により(
裁判員のシロウトゆえの遠慮で)聞きたかった言葉を聞くことができなかった点などは、迅速な裁判という要請で証人の出廷を再び待つことが事実上できない
裁判員制度の根本的な問題点とも言えそうだ。「自白」は、ちょっと反則か。