JRはなぜ変われたか 山之内秀一郎

JRはなぜ変われたか

JRはなぜ変われたか

国家的不当労働行為(旧国鉄が全員解雇し新会社が雇用するという形態を取り、旧国鉄の不当労働行為責任をJR各社が負わないようにした、まさに法匪)と何人もの自殺者、そして過激派の内ゲバによる複数の死者を出した国鉄民営化。著者は、その部分には触れず(住田・松田・井出などふさわしい人物がいると)、ほぼ民営化後の取り組みに絞って論じている。安全への投資が民営化でかえって強化されたこと、建築士など人的資源が有効活用されたこと。通底しているのは、労使関係にエネルギーを奪われ、前向きな経営姿勢がとれなかった旧国鉄に対し、積極的に取り組むことができるようになったことがカギということらしい。この著者には個人的に思い入れがある(もちろん負の方)だが、もちろん先方は知らないだろう。事例は覚えているかな。