乳と卵 川上未映子

乳と卵

乳と卵

初潮を迎えた、いかにもこの年頃らしい潔癖な姪の少女と、産み育てたことで「失った」ものを取り戻そうとせんばかりに豊胸手術にこだわる姉。それをおもいがそのまま字にしたような関西弁で表現する。「ようさん=ぎょうさん」など。これが標準語ではなまじ言文一致風書き言葉に埋もれてうまくいかないのだろうが、そこで関西弁を使ったのがうまい。そして少女が筆談で会話する、というのもうまい。つまり、うまいのだが。同時に収録されている作品は、こうした場合よくあることではあるが、どうしようもなく拙劣。