食堂かたつむり 小川糸

食堂かたつむり

食堂かたつむり

しみじみとした料理小説で、最後の母の死と「フクロウ」を介した、なんだろう、赦し、であるが、この話が凄みをたたえているのは、間もなく亡くなるであろう母の披露宴の主菜に母の飼い豚であり可愛がって世話をしていた「エルメス」を料理するところである。食事が他の命を奪う営みであること、だから食事する者はその分まで元気にならなくてはいけないんだ、という強烈なメッセージが伝わってくる。