誤解だらけの「危ない話」

誤解だらけの「危ない話」―食品添加物、遺伝子組み換え、BSEから電磁波まで

誤解だらけの「危ない話」―食品添加物、遺伝子組み換え、BSEから電磁波まで

現実にはほとんど危険ではない遺伝子組換え作物の制限や無意味なBSE全頭検査によって被る経済的な損失を、もっと現実的な危険、たとえば感染症対策に回した方がいい。遺伝子組換え作物は飼料の形で牛や鳥が食べ間接的に日本人の体内にも入っている。全頭検査しても脳以外の特定危険部位異常プリオンが含まれている牛は出荷されてしまう(ただし、特定危険部位は流通に出回ることはない)。中国や台湾の日本向け野菜やウナギは、国産に比べはるかに農薬や添加物などの規制は厳しい。危険をことさらに騒ぎ立てるメディアの責任は確かに大きい。著者は「ヒューリスティクス」と「アルゴリズム」という言葉を使い、感性に流されずリスクを計算して対応することの重要性を求めている。ただ、「橋下知事の教訓は?」はちょっとどうだろう。礼儀のなさを指摘する、という前提として「公務で忙しいなか」というが、そうだったのか。東京出張であっても、東京のスタジオからの出演依頼を頑なに断ったのは、同じ時間帯に事前収録した民放番組(報道ではない)の放送とかちあうからだったという報道がある。だとすれば大阪市長などほかの出演者を自分の都合で待たせたのは「遅刻」と揶揄されても、ある程度仕方ないのではないか(だからこそ痛いところを突かれた橋下はあれだけキレたのではないか)。著者は、尊敬すべき専門家も専門外のこととなると的外れのことを言うことを指摘しているが、このあたり詳細な事実を把握しているのだろうか。