片隅の中世 水藤真

片隅の中世 播磨国鵤荘の日々

片隅の中世 播磨国鵤荘の日々

法隆寺の直務支配だった播磨国鵤庄の政所の僧たちが残した記録「鵤庄引付」をもとに、登場する役職名や事件をたどりながら、法隆寺による荘園支配の実態と、検断や賦課をめぐる守護方とのせめぎあいを描いている。守護に関係する人物でも、身柄は守護方、家や田畑などの検断は政所方とか、賦課を免れた後も結局は礼銭が必要でその割合は一定していたこと、赤松家から国役免除を取りつけてからは、礼銭はささやかなものとなり、免除は実質的なものとなったことなど。政所に属しつつ守護にも仕える沙汰人や寺庵・神子などの下級荘官が興味深い。斑鳩寺の修復に守護を超える寄進をする円山新兵衛尉の存在など。