女帝の古代史 成清弘和

女帝の古代史 (講談社現代新書)

女帝の古代史 (講談社現代新書)

古代日本には双方制の親族組織から女性の支配者も存在し、それは男性の支配者と並ぶときも、女王=宗教的世界、男王=世俗的世界、というわけ方でなく、古墳の合葬や副葬品などから女性も世俗的支配権を持っていた、とする。それが女帝を生み出す背景にあり、中国との交渉の中で男性優位の考え方が入ってきた。飯豊王という中間段階を経て、①推古は有力王族であり、男の王族の適格者がいない段階での即位、②夫との婚姻によって上昇し即位した皇極③嫡系への相続を前提とした中継ぎとしての元明・元正(持統は②と③の中間か)④嫡系として即位したがそのまま最後の女帝(古代)となった考謙、と分類している。古代日本の女性の地位について、唐令・大宝令・養老令との相続規定の比較などは、説得力を持たせている。