新・木綿以前のこと 永原慶二
- 作者: 永原慶二
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1990/03
- メディア: 新書
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▽木綿が帆船の帆布として、莚よりも風を孕む、として船の大型化に対応していたという指摘は、着眼点として独特なものを感じる。
▽「三 苧麻と植え・績(う)み・織る」と「八 木綿と植え・紡ぎ・織る」は、それぞれの繊維の栽培から布までの作業を紹介している。苧麻は栽培は粗放的だがその後の作業は木綿と比較にならない。現代の高級品の場合ではあるが、「麻は、木綿の10倍かかる」そうだ。一反の布を織るのに40日かかるとか。
▽木綿の普及は江戸中期、という通説に対して、室町後期に九州や三河など全国でほぼ同じに始まった(九州が最初かもしれないが稲作と違って西漸ではなかったとする)木綿の栽培は江戸前期には、相当広まっていた、と文献から主張している。